代表的な疾患

肺結核

結核菌が肺で発病している状態です。肺結核は昔の病気ではなく、現在も毎年1万人以上の方が肺結核の診断を受けています。免疫力が低下している方の発病が多いのですが、健康な方が発病することもあります。
主な症状には、発熱、倦怠感、2週間以上続く咳、痰や血液が混じった血痰、寝汗などがあります。胸部X線検査やCT検査、そして痰を採取して結核菌の有無を確かめる喀痰検査を行って診断します。抗結核薬を数種類使った治療を半年以上行うことでほとんどの場合は治すことができます。
肺結核は感染症法という法律で保健所への届け出が義務付けられていて、一定期間の入院が必要ですが、公費による医療費の負担制度が整備されています。

非結核性抗酸菌症

結核菌ではない抗酸菌によって起こる疾患です。150種類程度の非結核性抗酸菌が存在していますが、マイコバクテリウム・アビウムとマイコバクテリウム・イントラセルラーレによって発症するケースが圧倒的に多くなっています。結核菌と違い、ヒトからヒトへの感染はありません。診断につながる検査や治療の必要性の判断、治療は高度医療機関で受ける必要があるため、非結核性抗酸菌症が疑われる場合、当院では連携している高度医療機関をご紹介してスムーズに検査・治療を受けていただけるようにしています。

気管支喘息

肺の奥の細い気管支が慢性的な炎症を起こして狭窄して発症します。慢性的な炎症を治す長期的な治療と、発作が起こった際にそれを緩和する薬剤を使って上手にコントロールする必要があります。気管支喘息は、日本では患者数の多い疾患で、治療法が確立してきた現在も亡くなる方がいるため、「ありふれた病気」と油断しないでしっかり治療を続けることが重要です。
気管支の炎症は胸部X線検査やCT検査では異常を発見できませんが、呼気NO(一酸化窒素)測定器による検査で精度の高い診断が可能です。当院ではこの検査を軸として診断し、状態に合わせた治療を行っています。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

主に喫煙によって発症します。喫煙を長年続けることで肺全体に慢性的な炎症を起こし、徐々に肺が壊れてしまう疾患です。空咳が増えて、やがて痰が絡むようになります。さらに進行すると運動時に呼吸困難を起こすようになり、やがて安静時にも息苦しくなります。重症化すると、呼吸不全による酸素不足、肺がパンクする自然気胸などを起こすこともあります。胸部X線検査、CT検査、呼吸機能検査などによって診断し、重症度を評価します。壊れてしまった肺は再生できないため、残された肺を大事に保つためにも禁煙は不可欠です。呼吸不全が進行した場合には、在宅酸素療法が必要になります。肺炎などにかかりやすいため、それに対する予防も重要になります。

間質性肺炎

肺は空気に触れて酸素と二酸化炭素を交換する肺実質と、それ以外の肺間質に分けられます。間質性肺炎は、肺間質が炎症を起こす疾患です。慢性的な肺間質全体の炎症によって肺全体がもろくなり、穴が開いてしまう自然気胸を起こすこともあります。感染による肺炎ではありませんが、発症のきっかけとして細菌やウイルス感染が関わっていることもあります。痰のない乾いた空咳が続き、やがて息切れなど呼吸困難を起こします。進行すると呼吸不全を起こしますが、進行のペースは個人差が大きく、急激な悪化を起こすこともあります。

薬剤性肺障害

病気治療のために投与された薬剤による副作用で、肺にダメージが起こっている状態です。主な症状は息苦しさなど呼吸の異常です。服用している薬を正確に呼吸器科の医師に伝え、その上でX線検査、CT検査、喀痰検査、呼吸機能検査、採血検査などから必要な検査を行います。治療では、原因となる薬剤の服用を中止して、別の薬を処方します。症状が重い場合には、連携している高度医療機関をご紹介しています。

過敏性肺炎

アレルギー性物質を繰り返し吸引することで起こる肺炎です。カビによって起こることが多く、夏になると症状が強くなる場合には室内カビ、秋には枯草のカビ、冬季は加湿器に生じやすいカビが原因で起こることがあります。また、鳥の糞や羽毛で過敏性肺炎を起こすこともあります。X線検査やCT検査で細菌性肺炎とは少し異なる影を見つけた場合には、問診でくわしい状況をうかがって判断します。
アレルギーですから、原因となるアレルゲンをできるだけ排除することが不可欠です。

肺がん

日本におけるがんによる死亡者で最も多いのは肺がんです。肺がんのリスク要因では喫煙が最も高い傾向にあります。
がんは最初、1つの細胞ががん化してはじまり、長い時間をかけて増殖します。早い段階で発見して適切な治療を受けないと肺がんがどんどん大きくなって他の臓器などにも転移してしまいます。また肺がんが大きくなると、咳や血痰などの症状を起こし、進行すると胸痛や胸水なども生じます。ただし、現在は自覚症状のない段階で発見されるケースが増えています。当院の院長は肺がんの検査や治療を多数行ってきていますので、健診などで異常を指摘された場合にもご相談ください。

自然気胸(ききょう)

肺は左右がそれぞれ胸腔という空間に入っています。自然気胸は、肺の表面に穴が開いてパンクした状態で、そこから空気が胸腔に抜けてしまうため、呼吸がうまくできなくなります。ケガなど外傷によって起こることもありますし、肺の慢性疾患が進行して肺がもろくなって生じることもあります。背が高くやせ型の若い男性に起こることが多く、次いで肺の慢性疾患を抱えた方の発症が多い傾向があります。若い男性の自然気胸は肺上部に肺嚢胞(はいのうほう)という風船状のもろい病変ができて、そこがパンクして生じます。
呼吸の違和感や胸痛などが起こり、抜けた空気が多くなると呼吸不全を起こすこともあり危険です。そのため、症状が重い場合には連携している高度医療機関をご紹介しています。

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